コスモス介護支援情報 No.1
 
 
文責:舞鶴在宅介護者の会
世話人 鈴木 貫一

過日、住宅改修研修を受けたときの、京都府立大学 水野弘之教授のお話より、介護者の皆様に参考になればとまとめました。ご一読ください。また、逆にこうした工夫をした結果、効果があった実例のお話をお聞かせ下されば幸いです。
1 痴呆性老人をかかえる家庭のための住まいや住み方の工夫
(1)失禁・方便で困っている場合の工夫の実例
  ★トイレに行きやすくするための工夫

トイレ以外の場所で排泄してしまう痴呆性老人は多い。その理由の一つに、トイレの場所からず、途中で迷ってしまい、トイレにたどり着くまでに間に合わない、などがあることがわかってきた。そんな場合のトイレの空間認識をしやすくするための工夫例は次のとおりです。
トイレのドアに目印を付ける。
トイレとお年寄の部屋を近づける。
トイレの中が見えるようにドアを開けたままにしている。
間違いやすい通路は目隠しして迷い込まないようにしている。
夜中でも明かりをつけておく。
夜間、お年寄りの部屋は暗くして、廊下は豆球、トイレは蛍光灯とだんだん明るくする。

★トイレを使いやすくするための工夫

開き戸が開けられない場合は、非井戸に替えるなど、開けられるようにする。
トイレの中から鍵をかけ閉じこめられてしまう場合は、ドアの鍵を外から開けられるようにする。
水洗式便所の流し方がわからず、自分で始末しようとして便を手掴みにする人もいるが、そういう場合は水の流し方を書いた紙を貼ったり、センサーをつけ自動的に水が流れるようにする。

★失禁の後始末をしやすくするための工夫

痴呆性老人の中には、トイレ以外の場所で失禁する人が多く、後始末のため家族は疲れてしまう。そんな場合の生活空間の工夫例は次のとおりです。
部屋・廊下の床に新聞紙、ござ、ビニールシートを敷く。部屋の絨毯を撤去し、特殊畳・フロ-リング・防水シートなど掃除しやすい材質に取り替える。
布団やベッドにビニールカバーや防水シート敷く。
トイレの床=紙おむつを敷く、ビニールタイルなど、掃除しやすい臭いのつきにくい材質に張り替えた。床に水を流して洗えるようにする。
汚物の処理=洗濯機は二台で一台は汚れ物専用にする。 (用事が早く片づく)  汚物の洗い場・置き場を別に設ける。
風呂にシャワーをつけ、いつでも湯で下半身を洗えるようにする。
介護のためにトイレを広くする。


★弄弁で困っている場合の工夫

痴呆性老人の中には便をいじる人が3〜4割もいる。生活空間との関係では、トイレ以外の場所で排便してしまった場合や、水洗便所の流し方がわからない場合に方便が起きやすい。この場合は、「便であることがわからないから」と言うより、むしろ、『隠そうとしたり、後始末しようとして、結果的に便を手で掴んでしまう』と考えた方がよい。そんな場合の生活空間の工夫例は次のとおりです。
水洗式便所にセンサーをつけて自動的に水を流す。
トイレ以外の場所での排便を防ぐ。すなわち、トイレの場合がわかりやすいようにしたりトイレを使いやすくする。
 

(2)優しく徘徊を防ぐ工夫の実例

 屋外の徘徊も苦労の種である痴呆性老人は訳もなく徘徊していると考えがちですが、『行き先や目的がある』という研究結果もある。つまり、『昔、住んでいた家』などの行き先や目的意識があるがたどり着けないとか、帰ってこれないため、結果として、『迷って探しながら歩き回ることになる』ということも、徘徊の大きな原因のひとつであることが、解明されつつある。お年寄りを無理やり家にとじlこめるのではなく、優しい方法で徘徊を防ぐ工夫の実例は次のとおりです。
玄関ドアにブザーを取り付け、外に出たことがわかるようにした。
玄関の鍵を開けるのに時間がかかるようにした。
カーテンの出口や出入り口への通路を見えないように隠した。
庭に花を植え、イスを置きゆっくり過ごせるようにした。
お年寄りと介護者が互いに相手の様子がわかるようにして、安心できるようにした。=透明ガラスや鏡を利用する。間仕切りを少なくした。ワンルームにした。
お年寄りの部屋に好きな物や故郷の市町村誌を置き、自分の居場所である事がわかるようにした。『ここは○○家です。新築したから昔と少し違いますが安心してください。』と書いた紙を貼った。


(3)防火や冷暖房の事で困っている場合の工夫の実例

ガス器具を電気器具に、ストーブをエアコンやホットカーペットに取り替えた。ガス漏れ防止付きコンロなど安全な器具に買えた。
ガスコンロ、ガス元栓、仏壇、ろうそく、線香、マッチなどを見えないように隠した。
家族が留守のときは屋外のガス元栓を締めたり、鍵をかけ台所には入れないようにした。
使い方が判らない器具に替えたところ操作しなくなった。
火気使用場所の難燃化。


(4)家族や介護者の生活を守る工夫の実例

介護者が睡眠をとれなかったり、気の休まる場所がなければ、介護者が倒れてしまいます。そうならないための工夫の実例は次のとうりです。
お年寄りの部屋は1階 介護者は2階などの住み分けをし、家族が休める部屋を設けた。
寝室にお年寄りが入ってこないようにする工夫⇒「疲れています、開けないでね」の張り紙。階段や出入り口を家具やカーテンで隠した。鍵をかけた。


(5)住まいや住み方の工夫による波及効果
   住まいや住み方の工夫を考えて、実行することを通じて、次のような波及効果が生まれる。

痴呆性老人の行動に対する理解が進み、優しく介護ができるようになる。注)痴呆性老人の行動が理解できないまま、無理に押さえたり、むやみに叱ったりすれば、更に悪い状況に追い込んでしまい逆効果。もっとも困っているのは家族より、むしろ本人であり、もっとも助かるのは本人である。
痴呆性老人の人権を守り、介護負担軽減と介護者の生活を守ることの両立ができる。
痴呆性老人対策は、従来の在宅福祉サービス3本柱に加えて、住居対策も不可欠である。

 


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